積読消化 - 誰のためのデザイン

ずいぶん昔に買った本だが、序盤を読んではやめ、序盤を読んではやめ、というのを繰り返して、結局最近になるまで全体を通して読むことはなく、積まれていた本。一応全体を通しはしたものの、かなり飛ばしながら読んだ。改めて精読するかもしれないし、しないかもしれない。

この本は認知科学者がモノのデザインについて切り込んだ本。使いやすさを実現してこそよい「デザイン」であると主張している。そこに見た目のよさ、美しさは関係ない。

特に印象に残ったのは、間違えることを前提にデザインするべきであるという主張だった。人間はかならず間違いを起こす。間違ってメールを送信する、間違って大切なデータを消す、間違って公開したくない情報をネットに投稿してしまう etc… どんなに注意していても、間違いを犯してしまう。そういうもの、と捉えるほかない。本書では人間のそういう側面を「前提」として捉え、間違えることを前提としてモノをデザインすべきと主張している。

なるほど、最近の情報システムはそういう向きのデザインが増えたように思う。Gmail にはメールの誤送信対策としてメールの送信をキャンセルできるようになっている。SI 業界では忌み嫌われている論理削除も、間違った削除への対応策として使える面がある。間違いを犯しても、その間違いをリカバリする仕組みを、製品のデザインに取り込んでいる。


最近は一人でシステムの設計から実装までやることが多く、おのずと UI 部分の設計も行ったりしている。こういったデザイン方面の知見の獲得も取り組んでいきたい課題のひとつであると感じている。